歯医者さんが教える！歯石取りはガリガリやるべき？

こまい歯科の小泉です。（vol３２４）

患者さんが歯科衛生士さんにした質問から・・・。

Q１：「歯石取りって、ガリガリやるんでしょう？」

Q２：「早く終わったら手抜きしているんじゃないの？」

さてさて、この患者さんの質問（というより、ご不満だと思いますが）、

皆さんはどう思いますか？

実は私はこの経緯を聞いて、

「この患者さんは大変損をしたなあ・・・。

目の前に優秀な歯科衛生士さんがいるのに・・・」

と正直大変残念に思いました。

それでは解説です。

Q１：「歯石取りって、ガリガリやるんでしょう？」

A１：歯石がついていて、しかも歯に強くくっついていたら

ガリガリ取らないといけない場合は確かにあります。

しかし、通常の超音波スケーラーによるスケーリング（歯石取りのこと）を

行って、それで歯石が取れるなら、必要以上にガリガリするのは

害（≒過剰な治療（オーバートリートメント））でしかありません。

Q２：「早く終わったら手抜きしているんじゃないの？」

A２：例えば、もしポケット（＝歯の周りにある溝）が４ｍｍ以下、

歯肉から出血が少ない、比較的歯を磨けている、

といったような場合には、むしろしつこくスケーリングをするのは

害（≒過剰な治療（オーバートリートメント）オーバートリートメント）でしかありません。

こういうケースは、むしろ機械の出力を弱くして、ポケット内を洗浄するようなイメージで

清掃するのが正解なのです。

いかがでしょうか？

この質問を投げかけられたのは

当院のベテランの歯科衛生士の１人でした。

彼女は実は陰で本当によく勉強しております。

同業者とも情報交換を盛んにしていて、

患者さんからもかなり人気があるのです。

私自身、過去に歯周病をスウェーデンの専門医に師事して勉強した時期がありましたから、

歯周病のことも結構深く掘り下げて勉強してきました。

歯周病をよく理解している歯医者さん、歯科衛生士さんなら、上記の内容は常識なのです。

しかし、一方で・・・。

歯周病の知識が足りない先生や衛生士さんは、

歯をガリガリやって、歯石を取ったつもりになってしまう。

残念ではありますが、そういう光景もいっぱいみてきました。

もう１つ難しいのは、歯周病って、実は患者さんからはあまり評価されないんです。

（もちろんちゃんと知識を得て、歯周病ケアや治療の大切さをよくご理解されておられる

患者さんも一定数おられます）

症状も大してないし、痛みもほとんどないし・・・。

治療の対象となる場所が歯肉の中だから、

治療の様子も見えないし、治療の結果もわかりづらい。

（短期的には口臭が減る、消える、歯肉の腫れが治まるなどの効果は実感できるでしょうけれど）

長期的（少なくとも５年とか１０年）に見ないと、

歯周病治療自体で歯が長持ちする、ということ自体も

多くの患者さんにとってはなかなか実感できないのではないでしょうか？

正しいことをしても評価されない辛さ。

それに少し傷心していた彼女ではありましたが・・・。

かといって、間違った歯石取りの仕方をして

患者さんに喜ばれようなんて思ってはいけない、と

私は考えます。

皆さんも、時には行き違いからくる不満を

お感じになられる場合もさぞあるかとは思いますが、

怒りの感情の前に、まずはなぜそうだったのか？を

整理してみると、意外な事実が浮き上がってくることもよくあるものです。

わからないことがあれば、相手に聞いてみてはいかがでしょうか？

たったそれだけで、目の前の景色が大きく変わることもよくありますものね。

世田谷区・千歳烏山で歯周病治療・予防を真面目に取り組んでいる歯医者

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