歯医者さんが教える!精密根管治療で治らない場合とは?⑤
投稿日:2023年5月29日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol499)
高い成功率を誇る米国式の精密根管治療の100%成功しない理由を考える。
今日は4日目です。
②歯自体の構造が複雑あるいは異常がある
よくあるのが歯の神経の走行が複雑であることです。
下の図の黒い線の部分が歯の神経組織なのですが、
まるであみだくじのようになっているのがわかりますよね。
これ自体は異常がある、とは言えません。
ただただ、複雑ですよね。
その複雑な神経に原因菌たちがうわーっと入り込んでしまうのです。
それをできるだけ除菌しないといけないわけですが、気が遠くなりませんか?
他にも、フィン(溝)、イスムス(根管と根管の間の細かいトンネル)といった、
肉眼ではとても見ることのできないような細かい構造も頻出します。
そういう場所を顕微鏡を覗きながら、
汚染物質を慎重に丁寧に取り除いていくわけですが、
とたんに難易度が上がるわけです。
まして、歯根が大きく曲がっていたら、
マイクロスコープでも観察できない場合もあります。
次に、歯の構造の異常についてですが、
最も代表的なのが歯の亀裂、そして歯の破折です。
あとは歯の穿孔(パーフォレーション(=歯根に穴が開いていること))。
まず歯の亀裂と破折ですが、
その場合は亀裂線・破折線に沿って、原因菌たちが浸透していきます。
そのせいで歯が悪くなるわけです。
ですから、亀裂線・破折線を削ることで原因菌や汚染物質を除去していくわけですが、
それは同時に歯の強度を弱くしてしまう行為でもあります。
歯の穿孔も同じようなイメージです。
多くの場合はそこに不良肉芽と呼ばれる炎症性組織が
広がっていて、顎の骨も溶けてしまっています。
いずれにしても治療としては難関レベルです。
世界にはいろんな手法を用いて、これらの問題にチャレンジしている歯医者さんたちも
それなりの人数で世界各地に点在しておられます。
歯の亀裂もレベルによりますが、簡単なレベルから最難関まであります。
歯の穿孔は難関レベルです。
しかし、とりわけ歯の破折だけは
治療してもあまり思わしくない(治療成績がかなり悪い(超難関レベル))、
というのがどの先生でも共通認識です。
果敢にチャレンジしておられる先生も世の中にはごくごくわずかながらいらっしゃいます。
私も患者さんから懇願されてやむなくチャレンジするケース、実はいくつもあります。
しかし、歯の破折は本当に厳しいです。
治るかどうかの道筋もほとんど見えず、
例えて言うなら猛吹雪でホワイトアウト状態の元で、道を歩むような感覚です。
厳しい中で回復しても、
1年経って大丈夫だった、
2年経って大丈夫だった、
という風に、階段を1段ずつ上るかの如く、
毎年大丈夫なのを確認していって、
気づいたら10年経った、とか、そんな感じで経過を追っていかなければなりません。
それでもチャレンジしたい、という場合は
必ず事前によくご理解されてからご相談ください。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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