歯医者さんが教える!抜歯を回避するためのエクストルージョン①
投稿日:2021年9月16日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol224)
歯を抜かないためにエクストルージョンをする、という方法があります。
エクストルージョンとは、矯正力による歯の挺出(ていしゅつ)のことです。
つまり、歯に力をかけて引っ張り出す治療です。
その多くは前歯、犬歯に対して行われます。
小臼歯、大臼歯といったいわゆる奥歯には
あまり有効ではないため行わないことがほとんどです。
そもそも、なぜこんなことをすると思いますか?
エクストルージョンの対象となる歯は、
歯肉の下まで歯が無くなってしまっており、
そのままでは歯を回復してもすぐダメになってしまいます。
そこで、
歯を引っ張り出すことで健康な歯の部分を歯肉の上により多く引き出せば、
その後で歯を作る際に安定性と耐久性を高められるからなのです。
歯肉の上に存在する歯の部分(フェルールといいます)が、
全くないケースと歯の全周にわたって2mm確保できた場合において、
歯の強度が約4倍も違う、というデータがあったりします。
実はこれは歯医者さんの間では常識です。
大学で習うからです。
よく「差し歯が取れた」なんてお話を聞きますが、
そういうケースの多くは、このフェルールがありません。
もともと虫歯が深ければ仕方ないのですが、
いかにフェルール(=歯肉の上に健康な歯の部分)が存在しているか?によって、
その歯が中長期的にどれくらい安定してくれるか?という運命を
大きく左右する要素となっているわけです。
また、歯肉の下深くまで歯がない状態だと、歯肉がとても腫れやすくなります。
それもエクストルージョンによって腫れにくくなる効果が期待できるのです。
一方で、エクストルージョン最大の欠点は時間がかかってしまうこと。
また、保険が利きません。
あと、歯根や残っている歯の形によっては
たとえエクストルージョンを行ったとしても
効果が出ない場合もあり得ます。
それに、歯根が短い場合にはエクストルージョン自体が適応外になる場合もあります。
そういったメリットデメリットを踏まえた上で、
エクストルージョンによって抜歯を回避し安定を手に入れることができるのであれば
良いですね。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
■ 他の記事を読む■