歯医者さんが教える!根管治療の治りやすさ⑥
投稿日:2021年9月3日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol218)
5.歯の神経の形がシンプルなほど治りやすく、曲がったり枝分かれしているほど治りにくくなる
これも当たり前と言えば当たり前ですね。
ただ、患者さんのほとんどは、
歯の中のイメージがとてもシンプルなことが多いようです。
みなさん、次の図のようなイメージをお持ちではないでしょうか?
しかし、実際は人間の身体であり、生き物です。
ましていわゆる「歯の神経」は
「歯髄(しずい)」と呼ばれ、神経だけでなく血管やその他組織も
含まれています。
そしていろんな研究者が歯の神経の形(解剖学的形態)を調べたところ、
とても複雑なことが分かったのです。
たとえばこの図。
(Presentation of root canal anatomy by Hess (1917)より引用)
黒い部分が歯の神経です。
いかがでしょうか?
いろんなパターンがありますね。
1つとして同じ形の神経がありません。
どれもあみだくじのように複雑に、何本も枝分かれしたり合流したり・・・。
こんなところにお口の中の細菌が入り込んでいったらどうなると思いますか?
歯の神経が生きていれば炎症を起こしてすごく痛くなります。
歯の神経が死んでしまい、さらに細菌が歯根の先まで到達すると
歯根の先に膿がたまることもあります。
そしてこういった病気を治すには、歯の中をできるだけクリーニングして
きれいな状態に戻さないといけないのです。
しかし、歯の中の形が複雑であればあるほど、
クリーニングするのも難易度が高くなる傾向にあります。
私自身、マイクロスコープを使った根管治療を始めて11年近くになりますが、
保険診療で行われる肉眼での根管治療では治らないのも無理はないな・・・
と思い知りました。
もちろんマイクロスコープを使っても成功確率は60~90%であり、
歯を残す、というのはとても大変難しく高度な作業だ、と
年々つくづく思い知る一方です。
でも、あきめたらそこで試合終了です。
もとい、歯の寿命は終わりです。
歯科医として患者さんの意志に寄り添いながら、
可能な範囲で歯を温存すべく日々頑張っております。
ケースによって難易度が変わりますので、
ご相談の際は診察を受けた上でお受けします。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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