歯医者さんが教える!根管治療におけるマイクロスコープと肉眼の違い②
投稿日:2021年3月19日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol144)
Q:根管治療(※)で、マイクロスコープと肉眼での治療って、
そんなに違うんですか?
(※歯の神経を取る処置あるいは歯根の消毒)
というご質問への回答で、他の理由も解説しましょう。
決定的な違いの2つ目は、使用する器具です。
たとえば、
肉眼治療ではステンレススチール製のファイル(昔はリーマーもよく使われていた)
と呼ばれる、細長い針状の器具を歯の中に差し込み、手でねじったり上下させながら使用します。
一方、
マイクロスコープではニッケルチタン製のファイルを、専用の機械に装着して
使用します。
この両者の違いは、歯にかかる負担や歯の曲がり具合への対応に
決定的な差があります。
ステンレススチール製は、歯に力がかかり過ぎる場合があります。
特に直径0.25mm超える太さのものを使用すると、歯根に亀裂が入りやすいのだそうです。
直径0.15~0.2mmあっても亀裂が入る心配があるとも言われています。
歯根に亀裂が入ってしまうと、
「治療したのに痛みが取れない、なかなか治らない」
ということが起きてしまいます。
しかし0.15mmの太さの器具だけはどうしても、
歯根の先までの道筋を確保するために
肉眼であってもマイクロスコープであっても使用しなければなりません。
だから私はステンレススチール製の器具を使用する際は
歯に亀裂が入らないよう細心の注意を払っています。
一方、ニッケルチタンファイルは専用の機械を使用しており、
過度の力がかかると察知したらすぐ逆回転して力を抜いてくれます。
また、歯の曲がり具合の点でもずいぶん違います。
ステンレススチールは0.2mm以上の太さになると途端に柔軟性が無くなります。
ところが、歯が曲がっていることは日常茶飯事です。
ステンレススチール製の器具だと曲がり切れずに、歯の内部の形を変えてしまいかねず、
器具が届かない部分も出てきがちです。
一方、ニッケルチタン製ファイルは柔軟性があります。
変に歯の内部の形を変えずに清掃してくれるのです。
こうしてみるとニッケルチタン製ファイルの長所が目立ちますが、
最大の欠点は耐久性がないこと、そして非常に繊細であることです。
器具を慎重に使用しないと、ニッケルチタンファイルは簡単に折れてしまいます。
また、慎重に使用しているのに折れてしまって不可抗力なこともあります。
だからニッケルチタンファイルを肉眼で使用するのは、ちょっと無理があると思っています。
使うなら
マイクロスコープで観察できる状態にしておかないと
私には怖くて使用できません。
このように、たった1つの器具を取ってみても、
ずいぶん違いがあることがわかります。
という方はこまい歯科までご連絡ください。
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