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歯医者さんが教える!歯が折れた時の治療法③

投稿日:2023年7月20日

カテゴリ:ドクターズブログ

こまい歯科の小泉です。(vol523)

 

歯が折れた患者さんで意外と多いのが

「折れた破片を元の歯に接着できるんですよね?」

というご質問です。

ちょっと待ってください。

 

本当に折れた物を単純に接着すれば解決するでしょうか?

 

まず、歯が折れるという現象には原因があります

 

それは

①長年にわたる咀嚼・歯ぎしり・食いしばりによる歯の疲労蓄積

②これまでにかかった虫歯のせいで歯の一部が失われたことによる歯自体の強度の低下

です。

 

単純に言えば、強い力で歯が折れた、と言えます。

(弱い力であっても、足し算の合計では強い力になりますので)

 

ここで物理的に単純に折れた物を歯に接着したらどうなるか?

を考えてみましょう。

 

接着しても「折れた部分」というのは強度的に脆いことには変わりありません。

 

「単純に折れた物を接着してもまた折れる確率が高い」と言えます。

 

ということは、

歯が折れる原因となった強い力に耐えられるように歯を再建する

という考え方が原則になります。

 

ただ、噛む力のかかり方は

最大限噛みしめた時に

前歯で20kg前後

犬歯で30kg

小臼歯(真ん中くらいの歯)で45kg

大臼歯(奥歯)で75kg

くらいの力が出るのだそうです。

 

さらに睡眠時においては

約100kgもの噛む力が出て

しかも起きている時の噛む力よりも強大であることがわかっています。

 

歯科専用の接着剤の接着力は1㎠あたり約150~200kg。

接着面積が0.5㎠であれば75~100kgです。

 

ということは、安全域を見込むとなると

単純計算で少なくとも1㎠の接着面積が欲しい

(経年劣化を考えるとトータルで400㎏くらいの接着力が欲しいくらい)のですが、

実際にはその半分くらいしか接着面を確保できません。

 

しかも上記の接着力の50~80%程度しか発揮できない場合が

しょっちゅうあるわけです。

 

よって、

折れた物を歯に接着する、という治療法は

単純計算上からも必ずしもうまくいくとは限らない(むしろ難しい・・・)ことが

推測されます。

(いろんなケースがあるのでチャレンジしても良い場合も中にはありますが)

 

そして、折れた物を歯に接着する治療法は、健康保険の適応外である点にも注意が必要です。

 

いろいろな問題がありますね・・・。

 

 

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