歯の神経をなるべく取らない治療法(歯髄保存療法(VPT))⑥
投稿日:2023年6月28日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol512)
虫歯治療において、虫歯がかなり深かった時に
歯の神経を取らずに保存(温存)する治療法がVPTと呼ばれています。
VPT、と一言で言っても、虫歯を取りきった時に
1.歯の神経が露出しなかった
2.歯の神経が露出した
の2つの場合に分かれます。
1.歯の神経が露出しなかった
ケースの数としては非常に多いです。
ただ、
「歯の神経が露出しなかった」からといって
「歯の神経が大丈夫」とは限りません。
実はミクロの世界において、歯の内部=象牙質には
象牙細管
という細い管が大量に存在します。
専門的には、象牙質が露出した時点で歯の神経が露出した、と考えるべき
という考え方すらあるのです。
専門用語で、象牙質歯髄複合体なんて言い方があります。
要するに、
歯の神経(=歯髄)と、歯の内部の象牙質は一体として考えるべきだ
ということなのです。
実際に、
象牙質に到達した虫歯がある場合は
歯髄にまで虫歯菌が到達しており、歯髄に何かしらの炎症が必ず起きている
と考えるべきなのです。
この見解は、
イタリアのリクッチ先生が、実際に虫歯になっているヒトの歯を抜いて
光学顕微鏡で徹底的に調査した研究結果に裏付けられたもので、
今や常識となりました。
だから、
「歯の神経が露出しなかった」からといって
「歯の神経が大丈夫」とは限らない
ということを頭に入れて、治療後の反応がどう出るか?
も同時に考えていく必要があるのです。
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