MTAセメントを使えば大丈夫なんですよね?
投稿日:2024年3月25日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol620)
「MTAセメントを使えば大丈夫なんですよね?」
ネットで調べた患者さんがこのようなご質問をされることがあります。
待ってください。
MTAセメントは万能薬ではありませんよ?
MTAセメントを、どのような状況で、どこに、どういうふうに使うか?
これらの要素の組み合わせ次第で答えは変わってきます。
まず、MTAセメントは次の場合に使われます。
➀歯髄温存療法:虫歯が深いが、歯の神経を温存できそうな場合
②根管治療:1)歯根に穴が開いている場合
2)根管充填
③外科的歯内療法:歯肉を開いて歯根を露出させ、病変部を切り取ったのちに使用
たとえば
➀歯髄温存療法
虫歯が深いが、歯の神経を温存できそうな場合に使用する分にはありだと思います。
しかし、歯の神経を温存できないのにMTAセメントを使っても、
歯の神経を温存することは不可能なのです。
②根管治療
患者さんの中には、
「根管充填において全部のケースでMTAを使った方が良い」
と思い込んでおられる方がこれまで数人おられました。
確かにMTAセメントは封鎖性に優れ、歯の強度を高め、しかも殺菌性が持続する
という特徴はあります。
しかし、歯根がかなり曲がっている、根尖(神経の出口)が壊れておらず根管のサイズも細め、
という場合にはMTAセメントは不向きです。
MTAセメントは、ある程度根管が大きく拡大されて空間があって
初めて適切に充填できるものです。
また、曲がっている場所にMTAを詰めていくのは非常に困難です。
実際、世界最先端の根管治療においてもそのようなケースにMTAセメントを使うことは
推奨されておりません。
MTAセメントに過剰な期待を抱かないことですね・・・。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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