歯医者さんが教える!どんな名医であってもうまくいかない場合とは?②
投稿日:2021年12月15日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol265)
どんな名医であっても、世界で一番上手な歯医者さんであっても、
まずうまくいかない場合、
というものはやっぱり存在します。
たとえば歯を抜いてすぐ作る入れ歯。
専門的には抜歯即時義歯と言います。
これは、
歯を抜く前に事前に歯型を採って、歯科技工士さんに義歯(入れ歯)を
作っておいてもらいます。
そして次の予約の時に歯を抜いたと同時に義歯(入れ歯)を
抜いた場所に入れる、というものです。
歯を抜く日は麻酔がかかっているのでその場ではなかなか気づきにくいものの、
麻酔が切れた後に問題が起きやすいのです。
この抜歯即時義歯、歯を抜く前の状態で歯型を採るという点に難があります。
それに加えて、歯を抜いて傷になった場所に即座に入れ歯を入れる、
という点もまた難易度が高いものです。
本来、歯型を採る、という行為は、「変化が起きないこと」を前提として
石膏模型を作るのが目的です。
だって、歯科技工士さんがまさか患者さんのお口の中を作業台にするわけには
いかないですからね・・・。
仮に歯医者さんがするにしても、5時間も8時間も患者さんに滞在してつきっきり
というわけにもいきません。
だから患者さんご本人の代わりに型を採った模型がその役を引き受けるわけです。
しかし、歯を抜く、という時点で、もう歯型を採った時点のお口の中とは状態が違います。
ある意味、変形しているのです。
歯科技工士さんはその変形するであろう形を想像して入れ歯を作るほかないのですから、
想像で作った入れ歯が患者さんのお口の中にピッタリとあうわけがないのです。
ですから、作ってくれた技工士さんの義歯が1mm程度のズレなら
その技工士さんは上手な方でしょうけれど、
歯医者さんにとっても患者さんにとっても
実際には1、2mmのズレが許容できない場合が多いですから、
あとはもう歯医者さんが歯を抜いたその場で調整するほかないのです。
しかも、歯を抜いたその場から歯肉も骨も形がさらに変形していきます。
1週間、2週間後には、もうその抜歯即時義歯と歯肉の間にすき間がどんどんあいてしまいます。
そして痛みも出やすい。
だから、名医だろうと普通の歯医者さんだろうと、痛みが取れてひとまず咬めるようになるまでは
調整を繰り返さないといけないわけです。
ここを患者さんが勘違いしてしまうと、
目の前の先生が本当は名医であったとしても
患者さんが「やぶ医者」と罵っては
ドクターショッピング(いろんな歯医者さん巡り)
が始まることでしょう。
こういう患者さんはいつまで経っても助からないかもしれませんね・・・。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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