歯医者さんが教える!精密根管治療で治らない場合とは?②
投稿日:2023年5月24日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol496)
高い成功率を誇る米国式の精密根管治療ですが、
それでもなぜ100%成功しないのか?を考えてみましょう。
原因は大きく分けて、
①除菌しきれない
②歯自体の構造に異常がある
③その他
の3つが考えられます。
①除菌しきれない(その1)
「痛くないのでずっと様子を見てきたけど、ついに悪くなったので歯医者に行った」
というケースは、こちらに当てはまる場合が結構あります。
細菌やカビが歯の奥まで染みわたってしまっている場合があるのです。
そうなると、治療しても除菌しきれない可能性が非常に高くなります。
治療では、まず物理的に細菌などで汚染された歯の部分を歯の内部から削り取っていきます。
そして、消毒薬で殺菌・消毒を行います。
その消毒薬も、薬が触れている部分は基本的に殺菌されますが、
たとえば1cm先は?というと、まず無理です。
5mm先?それでも無理でしょう。
かなり時間をかけても、薬液からせいぜい400μm先が限界だ、
というデータもあるくらいです。
(The influence of irrigant activation,concentration and contact time
on sodium hypochlorite penetration into root dentine:an ex vivo experiment
: Int Endod J.2020 Jul;53(7):986-997.)
1μm=0.001mmですから、
400μm=0.4mmということですね。
悪い部分を削る、と言っても、
あまり削り過ぎると、今度は歯が薄くなってしまって
強度が低下してしまいます。
そうなると、歯が折れやすくなってしまいますね。
歯は消毒できたけど、強度が低下して長く持たない、
というのでも困りますから、
悪い部分を削るにしても「限度」というものがあるわけです。
この2つは相反する点なので、
いつも判断に悩むところです・・・。
ただ、歯の奥まで細菌たちが浸透しきってしまうと、
お手上げですので、それでも治療をするとなると、神様に祈りながら
歯をとにかく清掃消毒するしかないのですが、
万事を尽くして天命を待つ、といったところでしょうか・・・。
世田谷区・千歳烏山で米国式精密根管治療に力を入れている歯医者
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