痛くない歯医者は名医?①
投稿日:2021年11月29日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol256)
痛くない治療、最高ですよね。
治療する側の私もいつも強くそう願っています。
でも残念ながら、
どれだけ頑張って気を配っても、
どれだけ痛くしないように最大限の努力をしていても、
どうしても痛みが出てしまう場合も実はあるのです。
一方、患者さんからすれば、痛くないのが一番です。
だから
痛くない歯医者なら名医に違いない!
治療が全然痛くなかったからあの先生は名医だ!
そう思いたくなるのもうなづけます。
ただ、世の中そんなに甘くはないんですね・・・。
痛くしないことだけに全集中したらどうなるか?
たとえば歯医者さんがこう思ったとしたらどうでしょう?
「これ以上この悪い部分を触ると痛くなるから触らないでおこう」
「歯の神経を温存したら痛みが出るかもしれないから、歯の神経を取っちゃえ」
これって、良い治療なのでしょうか?
悪い部分というのは、
往々にして慢性炎症が起きていることが多いものです。
それが治療のきっかけで炎症が急性化すると
痛みが強く出てしまったりします。
しかし、
悪い部分というのは取り除かないと良くならないのが原則です。
(例外は根管治療で、歯根の先のたまった膿を取らなくても治療が効けば膿は自然に消えます)
悪い部分を触って痛くなって評判が落ちるくらいなら触らないでおこう、
など恐ろしいことを考えてしまう歯医者さんがいれば、
それはたちまち名医になるかもしれません・・・。
歯の神経も、取ってしまえば痛くならない確率のほうが高いので、
虫歯が深かった時には歯の神経の温存を考えずに神経を取ってしまえ!と
決めている歯医者さんだったら、それも名医になりやすいかもしれませんね。
でも、
人間の身体で切り取って良い部分など何一つないという原則も忘れてはなりません。
痛くなるかもしれない確率はある程度あるけど、神経が助かるかもしれない、と思って
歯の神経を残す歯医者さんはやぶ医者でしょうか・・・?
こう考えると、
短絡的に痛みを基準に歯医者さんの名医やぶ医者を論じるのは
恐ろしいことではないでしょうか?
(繰り返しますが、痛くしないことももちろん大事な原則です)
いったい、何のために治療をしているのでしょう・・・?
そして職業、いや、人としての倫理観は・・・?
また、患者さんも患者さんで、「忘れる」ことが多いものです。
「治療した後に痛くなりやすいですよ」
と繰り返し説明しているのに、
痛みが出たら
「痛くなったんですけど、大丈夫ですか?」
と聞く方も実はけっこういらっしゃいます。
何かの喜劇みたいな話ですが、実際に現場で頻繁に起きていることなのです。
もちろん痛くなくて、なおかつ良い治療であれば
それが最高であることに異論はありませんが・・・。
【今日のポイント】
「『痛い、痛くない』だけでは歯医者さんの上手・下手を単純に決められない」
ということだけ覚えておかれると良いでしょう。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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