歯医者さんが教える!根管充填におけるMTAセメントの利点欠点
投稿日:2023年2月24日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol470)
患者さんから
「精密根管治療(マイクロスコープ根管治療)を受けたいけど、
MTAで根管充填してもらえますか?」
というご要望が出ることがあります。
ただ、必ずしもすべての症例においてMTAセメントがベスト
というわけではありません。
ご要望にお応えすべきではないケースも多々あります。
確かに、MTAセメントは非常に優れた材料です。
強アルカリ性があり、しかも生体親和性(体になじみやすさ)が高いです。
しかし、実際には弱点もあるのです。
ですから、
MTAセメントを魔法のお薬のようにお考えだとしたら・・・
それは間違い
なのです。
ではまず、
どういう場合にMTAセメントを使うべきか?ですが、
精密根管治療においては
①歯の内部(髄床底、根管)に穴が開いている場合
②根尖孔(歯根の尖端付近の神経の出口)が大きく開いている場合
に使うのが基本です。
(この2つ以外のケースでも使用する場合がありますが、
数が少ない上に専門的になりすぎるのでここでは割愛します。)
これらに該当しないケースではMTAセメントのメリットがほぼ出ません。
そしてMTAセメントの最大の弱点は
使い勝手の悪さ、そして除去するのが困難であることです。
特に、根管が曲がっていてしかも初めて神経を取るケースは要注意です。
往々にして歯根の奥に行くほど幅が狭くなるので、MTAセメントをきっちり
入れようとしても入りにくくなり、失敗するリスクが高まってしまいます。
しかも一度固まってしまうと、取り除くのは至難の業です。
根管が曲がっていると、さすがにマイクロスコープでも見えないため、
万が一再治療となった場合に、MTAセメントを取りたくても取れなくなってしまいます。
世界的にもMTAセメントを常時使用している歯医者さんはほとんどいませんが、
やはりどの先生も同じ理由を述べられておられます。
というわけで、
私は必要な時にはMTAセメントをご提案しますが、
そうでない場合は使いません。
MTAセメントは魔法のお薬ではありませんのでご注意くださいね。
世田谷区・千歳烏山でMTAセメントを使って精密根管治療をする歯医者
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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