歯医者さんが教える!歯の治療が1回で終わらない理由①
投稿日:2021年1月6日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol106)
たまに、患者さんの中に
「1回で治療は終わらないの?」
と聞く方がいらっしゃるようです。
他の診療科ですと、たとえば内科、皮膚科、耳鼻科などなど、
1回行ったらそれで終わり、という経験も多いのではないでしょうか?
しかし、歯はそう簡単でない場合が多いのです。
それに加えて、私は虫歯で穴があいたから塞ぐ、かぶせる、というような
短絡的な治療では意味がないと考えます。
それは、原因を考えず結果(=虫歯でできた穴)だけを
治している行為そのものだからです。
まず今日は、
「歯の治療というのは実は簡単ではない」
という点についてお話ししましょう。
一番簡単なケースは
「小さい虫歯や少しだけ歯が欠けた部分をレジンやグラスアイオノマーで充填する」
という治療でしょうか。
ただ、一番簡単、と言いながら、実はいろいろ考えながら施術しなければいけません。
虫歯がどういう位置にあるか?も重要なポイントです。
単に虫歯がある、だから削ろう!ではなく、
虫歯の位置が
たとえば歯と歯の間にあるのか、それとも歯と歯肉の境目あたりにあるのか、
歯の真ん中の見える位置にあるのか?
虫歯の周囲の状態はどうだろう?虫歯の周囲に亀裂が入っていないだろうか?
反対側の歯が噛みこんできていないだろうか?歯ぎしりした時にぶつかるのか?
近くに詰め物やかぶせ物などはないか?
虫歯の近辺に磨き残しはないだろうか?
といった要素を、短い時間の間にササっと、私でしたら見ているわけです。
次に削る位置を最小限にしながら虫歯を削っていきます。
この際も、健康な部分をできるだけ削らないよう配慮しながら、
皆さんご存知の歯医者さんが使うキーンと音の出るタービンを使ったり、
慎重にいきたい部分はスプーンエキスカベータを使って虫歯だけを取り除いたり、
虫歯検知液を使って虫歯部分を染め出して確認したり、
いろいろやることがあるわけです。
タービンなら削るのは速いですが、何でもかんでも削れてしまいます。
▲歯を削るタービンという機械
慎重に、削る量を最小限にしようとすると、
どうしても機械に頼れない手作業の部分が発生するわけですが、
手作業、かつスプーンエキスカベータは耳かき程度の大きさしかないので
それはそれは時間がかかってしまいます。
▲スプーンエキスカベータ
もし虫歯が大きいと30分なんてあっという間。
虫歯の広がり方が複雑だと、ごくまれに1時間近くかかることもあり得ます。
芸術でもそうですが、手をかければかけるほど良い仕上がりになる面も
歯科では当然ながらあります。
もちろん、
歯科は外科と同じですからできるだけ短時間に終わったほうが良い面もあります。
この相反する面を可能な限り両立させないといけない、
という無理難題に近い課題が
歯医者さんに課せられているわけです。
レジン充填1つとっても、
できるだけ再発させないようにこの先10年以上持たせようと
思ったら、全てのステップを相当厳密に行わないと無理でしょう。
というわけで、
「10分とかでできないの?」
「1回で全部終わらないの?」
というご質問は、
「1~2年程度歯が持てばいいからさっさと治して!」
と歯医者さんにお願いしているのと同じですよ、
ということになるのです。
世田谷区・千歳烏山でなるべく削らない歯医者
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