患者さんからの質問:クリーニングしたら詰め物が取れたのはなぜ?
投稿日:2023年12月25日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol578)
「糸ようじ(デンタルフロス)をしていたら詰め物が取れた」
皆さんはこんな経験ありませんか?
実は歯医者さんでも似たようなことが稀に起きています。
まれにクリーニングをしていて詰め物やかぶせ物が取れることがあるのです。
実は、
デンタルフロスのせいで詰め物が取れたわけではありません。
同じく、
クリーニングのせいで詰め物やかぶせ物が取れたわけでもないのです。
では真犯人はいったい何なのでしょうか?
歯医者さんでは詰め物、かぶせ物を装着する際にセメントを使用します。
そのセメントの強さは?というと、
例えばせん断強さ(材料が破断せずに耐えられる最大の強さ)という項目では
保険診療で一般的に使われている合着セメントで10~15MPa
自由診療で使用している接着性レジンセメントで24~26MPa
です。
1MPa(メガパスカル)=10.2kg/c㎡
すなわち
1平方センチメートルあたり10.2kgの力
ですから
保険診療で一般的に使われている合着セメントで102~153kg/c㎡
自由診療で使用している接着性レジンセメントで244~265kg/c㎡
となります。
(※本当は両者のセメントメカニズムが全然違うので単純比較は無理がありますが・・・)
一方で歯の面積は、小臼歯で0.8~1.0㎠、大臼歯で1.2~2.0㎠。
ということは、
歯の詰め物/かぶせ物は、大雑把に1㎠とするならば
保険診療で102~153kg、自由診療で244~265kg
の力がかからないと取れない、という計算になります。
1人の人間が100kgの力を相手の歯にかけることは現実的でしょうか?
仮に可能だとしても歯が抜けそうなくらい強い力ですから痛いでしょうね・・。
一方で経年劣化という要素もあります。
最初はしっかりしていても、日々の咀嚼、歯ぎしり、食いしばりなどで
セメントの力は徐々に弱くなっていくのです。
そしていつか、詰め物やかぶせ物がデンタルフロス程度の弱い力で取れてしまう日も来る。
同じく、クリーニング程度の弱い力で取れてしまう。
実はそんな経緯があったのです。
という方はこまい歯科までご相談ください。
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