歯医者さんが教える!歯の神経を取ったら詰めるだけではダメなのか?
投稿日:2022年8月1日
カテゴリ:ドクターズブログ
こまい歯科の小泉です。(vol373)
患者さんからたまに受ける質問で、
Q:「歯の神経を取ったらかぶせなければいけないのでしょうか?
詰めるだけではだめでしょうか?」
Q:原則、土台を入れた上でかぶせないといけません。
歯肉より上の部分の歯がある程度残っている前歯なら、
詰めるだけの対応でも大丈夫です。
ただし前歯以外の歯(犬歯を含む)においては、詰め物で対応すると
トラブルが起きるリスクが高いのでくれぐれも注意が必要です。
では、なぜ歯の神経を取った歯は、原則かぶせないといけないのでしょうか?
その理由は力学的強度にあります。
歯の神経を取る際、どうしても歯の中央部分に穴を開けなければなりません。
すると歯の強度は格段に低下してしまうことが、有限要素解析(物理学的な解析手法の1つ)
によりわかっています。
まして、だいたいは歯と歯の間から虫歯になっていることが多く、
歯と歯の間近辺の歯を削ると、一段と歯の強度が低下してしまうのです。
一方、歯は噛むと開こうとします。
噛む力から解放されると元に戻ります。
この開く、閉じる、という動きは歯を割るような運動になります。
つまり、歯をかぶせていないと、竹筒が割れるような感じで歯がバリンと割れて
しまう確率がぐーんと高くなってしまうからです。
これを防ぐために、歯の神経を取ったら歯にかぶせ物をするのは原則となっているのです。
ちなみに専門的には帯環(たいかん)効果と呼んでいます。
要するに、タガをはめて、歯が開いて割れようとするのを防ぐ役目が
かぶせ物にはあるわけです。
この原理で、歯の神経を取った後、かぶせ物をすることで歯の寿命を延ばしているのです。
前歯は縦に割れる前に水平的に折れることが多いため、条件に恵まれていれば
詰め物で対応してもOKです。これも有限要素解析でわかっていることです。
この辺は、物事を短期で考えるか、中長期的に考えるか?でも
治療法が異なってくるでしょうから、よくよくお考えになられることを
おすすめいたします。
をお探しの方はこまい歯科までご連絡ください。
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