歯根破折後にインプラント治療した症例
歯根破折歯を抜歯してインプラントで咬み合わせを回復した症例
▼歯根が破折して保存が不可能な歯を抜歯後、インプラントで咬み合わせを回復した症例をご紹介します。
初診時の口腔内
硬い物を噛んだら「バキッ」とすごい音がして激痛が走った、ということで来院された40代男性の患者さんです。歯がぐらついていて、噛むと痛いとのことでした。一見すると何ともないように見えます。レントゲン撮影もしましたが、明確な異常は認められませんでした。
しかし、「歯が揺れる」ということでピンセットで歯が揺れるか確かめようとしたら、歯の内側だけ動き、歯が割れていることが確認できました。
この時点で患者さんに状況を説明し、割れている部分が深くなければ歯を温存できる可能性はあるが、深ければ抜歯になるであろう、ということをご了承いただきました。
破折歯の抜去~抜歯
歯周ポケットを計測するプローブという器具を挿入していくと、割れた面に沿って1cm近く入っていくことが分かりました。こうなると抜歯せざるを得ません。
ましてこの患者さんは噛む力がとてつもなく強大なため、仮に無理に歯を温存したとしてもすぐダメになってしまうことは明白でした。ご本人もそのことをすぐ理解され、その場で抜歯しました。
抜歯から1ヵ月後/インプラント手術の実施
上部構造の製作
上部構造については、ジルコニアセラミックス東京の齋藤氏に製作を依頼しました。インプラントのかぶせ物はネジ止めを必ず行いますが、噛む力が強いとごく稀に緩む場合があります。
この患者さんはとりわけ噛む力が強いので、スクリューリテインと呼ばれる方式を採用しました。これは、噛む面からネジまでアクセスする部分に最初からかぶせ物の表面にネジを締めるための穴を開けておき、お口の中に装着後、ネジ穴を封鎖するという方式です。この方式なら、万が一ネジが緩んだときに簡単に対応しやすくなる点が大きな長所です。
治療完了
歯を装着したところです。ネジにアクセスするための穴もなるべく目立たないように封鎖してあります。色は患者さんのお好みで、周囲の歯よりも少しだけ白めに仕上げることになりました。ご希望通りの色になったため、「すごく自然な色と形ですね」と大変喜んでいただけました。
年齢/性別 | 40代男性 |
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治療期間 | 7ヵ月 |
治療回数 | 10回 |
治療費 | インプラント手術(ジンマー社) 270,000円(税込297,000円) ジルコニアアバットメント(ジンマー社) 56,000円(税込61,600円) ジルコニアクラウン(Sクラス) 147,000円(税込161,700円) |
リスクなど | ・歯磨きが足りなかったり、定期検と清掃を怠ったりするとインプラント周囲炎になる可能性がある。 ・かぶせ物のセラミックが欠けたり割れたりする可能性がある。 ・長期使用によるクラウンの劣化により、クラウンを交換する必要が出る可能性がある。 |