精密根管治療(神経の治療)
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再発リスクを抑えた根管治療にこだわっています
こまい歯科では天然歯を抜歯からお守りするため、抜歯リスクの高い重度な虫歯に対して行う根管治療に力を入れております。根管治療の精度を上げるため、精密機器の導入や治療を行う歯科医師の技術向上に努めております。以下では、当院が実施する精密根管治療についてご紹介致します。
根管治療とは?
虫歯が進行すると、歯髄(神経や血管)が通っている根管にまで虫歯菌が到達し、歯を内側から破壊して行きます。この症状を改善するために行う歯科治療が「根管治療」です。
根管内部に存在する虫歯菌に感染した神経や血管を綺麗に取り除き、根管内の洗浄・消毒・殺菌後にお薬を詰めて封鎖します。
一見簡単そうに思える治療ですが、根管内は非常に視界が悪く、複雑な形状をしているため、感染物質を綺麗に取り除くのも一苦労です。さらに根管内に細菌が残っていたり、封鎖がきちんと行われていないと高い確率で再治療が必要となるため、一つひとつ精度の高い処置が求められる治療なのです。※日本では根管治療の成功率が一般的には30%程度で、世界的に見ても大変残念な状況にあるのが現状です。
こまい歯科が実施する再発率を抑えた精密根管治療
マイクロスコープを用いて処置精度の向上
こまい歯科では、マイクロスコープを用いた根管治療を実施しております。肉眼のおよそ20倍の拡大視野の下、狭くて、暗い根管内部を、しっかり確認しながら精度の高い処置を心がけております。マイクロスコープを使用することで感染物質の取り残し防止や、根管の破折などの発見に力を発揮し、出来る限り再発リスク・抜歯リスクを抑えた適切な処置に努めております。
当院におけるマイクロスコープの師匠
こまい歯科では、再発率を抑えた適切な根管治療のご提供に努めております。より治療精度を高めるため、2010年より日本顕微鏡歯科学会会長で日本大学松戸歯学部の教授でもある辻本恭久教授に、歯科顕微鏡(マイクロスコープ)の技術をはじめ、根管治療のご指導をいただき日々研鑽を積んでおります。
辻本先生は、世界的な歯内療法(根管治療)専門医・Dr.Kimをはじめ、米国留学によって米国式根管治療をマスターされ、日本でその教育と普及に尽力されております。
マイクロスコープを用いた根管治療の成功率についてと、改善が難しいケースについて
アメリカやヨーロッパでは、マイクロスコープでの根管治療はずいぶん前から当たり前でした。なぜなら、成功率が80~90%と格段に上昇するからです。( ※ただし、マイクロスコープを使えば何でもかんでも成功率が上がる、というわけではありません。)
マイクロスコープを使って、肉眼では見えない部分の汚染を丁寧に除去し、再び細菌感染を起こさない状況に持っていけた場合に成功率が上昇する、という意味です。たとえば治療の途中で、数ヶ月治療に行かなかったとか、最後まで治療を完結しない方は当然治りません。また、歯がもともと既に割れてしまっていたり、亀裂が歯根の先まで入っているケースは、さすがにマイクロスコープを用いて正確に治療してもまず治らない確率の方が高くなります。
歯科用CTでの精密検査で根管内を把握
マイクロスコープを使用しても見落としてしまうような特殊な根管や、レントゲンなどには写らない歯根の病巣などが存在します。こまい歯科では、歯科用CTを使用して事前に精密検査を行い、処置が困難な根管の形状や見落としがちな病巣を把握することによって、より的確でスムーズな根管治療の実施に努めております。
ニッケルチタンファイルを用いた根管形成
根管内の感染物質除去や根管の拡大には、ファイルと言う器具を使用します。当院では、耐久性と柔軟性に優れたニッケルチタン製のファイルを使用し、湾曲した根管や複雑な形状の根管の先まで徹底した処置を可能にしています。根管の形成と拡大をしっかり行なう事で消毒液や薬品が隅々まで行き渡り、徹底した殺菌を可能にします。
ラバーダムによる隔離で無菌化の精度向上
根管治療は根管内部の無菌化を行い、症状の改善をします。ですが、口腔内や唾液には細菌が存在するため、処置をしながら無菌状態を保つのは困難です。そこで当院ではラバーダムというゴム製のシートを用いて、治療する歯を口腔内から隔離し、根管内部に細菌を含む唾液が侵入しないよう努めております。
MTAセメントによる根管充填
根管内の感染物質を取り除いた後、殺菌効果の高いMTAセメントを用いて、空洞になった根管を埋めて行きます。スペースが残ってしまうと細菌の繁殖がおこり、再発リスクが高まるため、隅々までしっかり充填することが重要です。MTAセメントは膨張しながら固まる性質があるため、緊密な封鎖が可能な上、高い殺菌効果によって再発リスクを抑えることが可能です。
適合性の高い精巧な被せ物(クラウン)
根管治療の再発防止には、最終的に装着する被せ物も重要になってきます。当院では患部に適した素材選びから、一つひとつの製作工程、作製をお願いする歯科技工士までこだわり、審美性・機能性・長持ちを考慮した被せ物製作に努めております。
患者さんお一人に対し十分なお時間を確保します
根管治療は歯科治療の中でも難易度の高い治療とされ、一つひとつの工程において精度の高い処置が求められます。特に、マイクロスコープを使用する際には、繊細で高度な技術、さらにそれに伴う労力も必要となります。当然短い時間では、精度の高い処置も難しく、根管治療の成功率にも大きな不安が残ることになります。
そのため、当院ではマイクロスコープを使用した精密根管治療の際、お一人に1時間以上の十分なお時間を確保し、丁寧な処置を実施しております。
マイクロスコープを用いた精密根管治療の流れ
①虫歯を最初に完全に除去
根管治療の要の1つが、最初に虫歯を完全除去することです。虫歯は細菌の巣なので、取り残したまま根管治療すると消毒が不完全になってしまいかねません。
②CR隔壁を作成
ラバーダムがかからない場合に行います。意外と地味に細かくて難しい作業なので術者の繊細な手技と集中力が要求されます。
③ラバーダム装着
当院の米国式根管治療では必ずラバーダムをします。ラバーダムとは薄いゴムのシートのことです。オラシールという特殊な材料で歯の周囲とラバーダムの隙間も封鎖します。唾液1滴あたり10億個も細菌がいるので、治療中の歯の内部に唾液が侵入すると問題です。そのため治療対象の歯以外をこのシートで覆うことで、細菌が歯の中に入らないようにするわけです。また、消毒剤でラバーダム表面を消毒してから施術するので手術レベルの清潔さを実現しています。写真の一部が茶色~黒色に見えるのは消毒剤を使用しているからですのでご安心ください。
④マイクロ用専用器具で清掃
マイクロエンドファイルを超音波で振動させながら根管内を清掃していきます。抜髄、根管が細い、湾曲しているといった場合にはニッケルチタンファイルで根管形成も行います。根管の直径は入り口で通常1mm程度ですが、細いと0.08mm以下の場合もあり、繊細かつ丁寧な手技が要求されます。
⑤清掃完了
根管内の消毒・清掃が終わりました。
⑥根管充填
垂直加圧根管充填をし、3次元的に空洞を封鎖して根管治療が完了です。
* MTAセメントでの根管充填
歯の状態が良くない場合や、歯根の強度に不安があるなどの場合はMTAセメントを使用することもあります。
(オプションで追加料金が必要です)
外科的な根管治療も対応しております
当院では、通常の根管治療では改善が難しい症状に対しても、外科的な処置によって歯をお守りしております。
歯根端切除術
細菌感染が歯の根の先まで広がり、炎症によって膿が溜まる「根尖病変」は、悪化に伴い、痛みや歯肉の腫れ、歯槽骨の吸収などを引き起こします。
通常の根管治療では改善が難しいため、歯根端切除という外科的処置を施します。患部の歯肉を切開後、膿の摘出と感染歯質の切除によって、改善を図り、天然歯の保存に努めています。
奥歯や開口障害等でお口の中で歯根端切除が難しい場合には「意図的再植術」を実施
開口障害でお口を大きく開けることができない方や器具が届かない奥歯には、上記の歯根端切除術が適切に行えません。そのような場合には、意図的に歯を抜き、お口の外で歯根端切除を行った後に元の場所に戻す「意図的再植術」を実施致します。※必ずしも症状が改善出来るわけではありませんが、症状の改善が見込める場合に、最終的な処置としてご提案させていただきます。
歯根分割抜去法(ヘミセクション・トライセクション)
歯の根が複数ある奥歯などについては、症状によって歯根分割抜去法(ヘミセクション・トライセクション)を実施し、歯の保存を試みます。
歯根分割抜去法は、問題が起こっている歯の根だけを切除して取り除くことによって、歯を部分的に保存するという治療法です。
歯根が2本の場合には、歯の1/2を切除するヘミセクション、歯根が3本の場合には、歯の1/3を切除するトライセクションを行います。※歯根の数によって呼び名が変わります。
こまい歯科が実施した根管治療の症例
▼こまい歯科で実際に行った根管治療の症例をご紹介します。
2次カリエスに対して実施した精密根管治療の症例
▼こちらの患者さんは、左上の歯に鈍い痛みがあり、冷たいもの、温かいものがしみるとのことで来院されました。
①診査・診断
診査診断から当該歯を特定し、治療を開始しました。治療患部の銀歯と自分の歯に段差、ひっかかりがあります。
②銀歯の除去
土台の歯を傷つけないよう、丁寧に銀歯を除去しました。白いセメントが変色している部分があります。
③セメントの除去
銀歯同様に天然歯を傷つけないよう、丁寧にセメントを取り除き、虫歯感染部位を確認。
④染め出し・虫歯部分の切削
う蝕検知液で虫歯感染部位を染め出します。青く染まっている所が虫歯が残っている所です。虫歯が深く、何もしなくても痛みがあるため、神経を残すのは厳しい状態です。
⑤精密根管治療の実施
マイクロスコープを用いて、根管内の状況をしっかりと目で確認しながら、感染物質(神経・血管など)を取り除きました。精度の高い処置により、治療後、症状はきれいになくなりました。
⑥根管充填
感染物質(神経・血管など)を除去した後、根管内にお薬を入れる「根管充填」を実施します。空洞があると細菌の繁殖スペースとなり、再発リスクが高くなるため、隅々までしっかりとお薬を詰めます。
⑦コア形成
最終的に装着するかぶせ物(クラウン)を安定させるため、歯に白い土台(ファイバーコア)を装着し、形成をしていきます。
⑧クラウン装着(治療完了)
精巧な歯型から製作したセラミックのかぶせ物(クラウン)を装着、咬み合わせの最終調整を行い、治療完了です。
こちらの症例は、9年ぶりに来院された患者さんです。定期検診を受診していれば神経を取るのは防げたかもしれないと思うと残念でした。しかし今回しっかり治療出来たので予後はよいと思われます。痛みが出てからでは遅いこともあるので、自覚症状がないうちから定期検診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
治療期間 | 2ヶ月 |
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治療回数 | 5回 |
治療費 | マイクロスコープ根管治療(小臼歯) 90,000円(税込99,000円) MTAセメント加算 22,000円(税込24,200円) emaxクラウン 115,000円(税込126,500円) 10年保証 |
リスクなど | 根管治療後再発の可能性がある |
症例の担当者のご紹介
世田谷区千歳烏山で精密根管治療をご希望の方へ
当院ではこのように再発率の高い重度の虫歯に対して、マイクロスコープやCTなどの精密機器をはじめ、専用の器具を取り揃え、処置精度の向上に努めております。世田谷区千歳烏山にて、同じ場所を何度も治療されている方や大切な歯をなるべく抜きたくない方はぜひ、こまい歯科の精密根管治療をお受け下さい。