温存が困難な歯の審美治療症例
温存が困難な歯に対して実施した審美治療の症例(70代:女性)
▼こちらの患者さんは、左上の白いかぶせ物が取れ、違和感がするということでご来院されました。
初診時の口腔内
口腔内を確認したところ、確かにかぶせ物の白い部分が取れていました。土台はどうやら金銀パラジウムという硬い金属でできています。
これは除去するのが非常に面倒であり、相当気をつけないと余分に歯を削ってしまうリスクの高い材料です。
レントゲン写真
このレントゲンは違和感が起き始めた時点で一度撮影したものです。この時はレントゲン的に異常がはっきりしていなかったため、患者さんとご相談の結果、治療を見送っていました。
問題の歯には金属の土台が入っています。しかも、相当太く深くまで入っています。これを除去するには歯をダメにするリスクも覚悟しなければいけません。
今回はついに違和感が持続するようになったため、治療を行うことになりました。歯を温存するため、用心に用心を重ねながら、丁寧にできる限り金属だけを除去していきました。
虫歯の除去・根管治療~コアの形成
銀の土台をはずしたところです。とても危険度が高かったものの、歯をあまり削ることなく除去できました。土台が無くなった状態で観察すると、土台の下まで虫歯が広がっているのが確認できました。また、歯の中央から外側に向けて白っぽい線が見えます。もしかすると歯に亀裂が入っているのかもしれません。
かぶせ物(フルジルコニアクラウン)の製作
患者さんから採った歯型を模型にしたところです。患者さんとご相談の結果、フルジルコニアクラウンを作ることになりました。
CAD/CAMといって、コンピューター上でデザイン設計し、それをもとに機械でかぶせ物を製作する方法です。
※寸法を守らないと構造的な欠陥が出てしまうため、歯の成形や歯型取りはできるだけ精密にしておかないといけません。
フルジルコニアクラウンができあがってきました。フルジルコニアクラウンは歯科技工士さんが手作業で製作した歯のように精巧なかみ合わせを再現することができないため、このような比較的平らな歯になりがちではあります。
ただ、この材料は米国でも多数使用されています。そして、当院の患者さんでご希望された方々に多数施術してきましたが、咀嚼を問題なくできていること、顎関節への負担もクリアしている点なども確認済です。この材料の特徴を理解して選ばれたのであればご安心いただけると思っております。
かぶせ物を装着して治療完了
無事に歯が入ったところです。フルジルコニアクラウンは色合いをきれいに再現したり変更するのが困難です。しかしこのケースは、たまたま前歯にもセラミックの歯が入っていました(これらは当院で施術した歯ではありません)。そして比較的単純な色で作られていました。だから色がうまく調和したと考えられます。治療後の検診でも違和感は消えており、患者さんもご安心されておられました。
年齢/性別 | 70代女性 |
---|---|
治療期間 | 1ヵ月 |
治療回数 | 4回 |
治療費 | ファイバーコア 26,000円(税込28,600円) フルジルコニアクラウン 97,000円(税込106,700円) |
リスクなど | ・将来歯根が折れる可能性がある ・かぶせ物が硬すぎるため反対の顎の歯にダメージが出る可能性がある など |