歯根が破折した歯の抜歯を回避した症例|世田谷区千歳烏山でおすすめの歯医者|こまい歯科

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歯根が破折した歯の抜歯を回避した症例

歯根が破折した歯の抜歯を回避した症例

初診時のレントゲン画像こちらの患者さんは、奥歯が腫れたので他の歯医者さんで根管治療を行なったが、歯根にヒビが入っているから抜歯しなければいけないと言われました。

親知らずの移植もあることを説明され、大学病院に行こうとしたが、コロナ禍でなかなか行けず、やっと大学病院を受診したところ、歯根を1つだけ切断して残すトライセクションか抜歯を提案され、親知らずの移植はできないだろうと言われたとのこと。

できるだけ抜きたくない。数年でも良いから何とか温存できないか?ということで当院を受診されました。

初診時のレントゲン画像レントゲン上では歯根の先(黄色の丸の中)に黒っぽい像がわずかながら見えました。残っている歯の部分もかなり少ないようなので仮に歯を温存したとしてもどこまでこの歯がもつか?は読めない状況です。

そこで治療はチャレンジングなものになること(治療しても治らない、あるいは数年以内に抜歯になる可能性など)を予めご了承いただいた上で治療することになりました。

精密根管治療の実施

精密根管治療の実施

ラバーダムをかけ、術野を全身手術同様の清潔レベルにした上で、マイクロスコープを使った根管治療を開始しました。当該歯には前の歯医者さんで入れてもらった仮詰めのセメントが入っていました。

精密根管治療の実施

仮詰めを外したところです。事前の予想通り、歯がとても薄いです。赤矢印の部分に亀裂線が走っているのがわかりました。

精密根管治療の実施

この歯の内側の歯根の先から白っぽい液体が見えました(黄色矢印)。膿が出てきていました。また、根管(神経の管)も黒くなっており、かなり汚れている様子も観察できました。

精密根管治療の実施

吸引器で歯根の先にある膿と血液を吸えるだけ吸い取ります。

精密根管治療の実施

虫歯検知液を流して虫歯が無いかをチェックします。

精密根管治療の実施

青く染まった部分が虫歯です。

精密根管治療の実施

あまり歯が残っていないため、やさしい力で慎重に虫歯を削りました。また、虫歯の取り残しが無いか?をステンレス製の専用器具で念入りに確認もしました。

精密根管治療の実施続いて根管(神経の管)のクリーニングに移ります。

汚れがかなり詰まっていたので、超音波の細い器具を使って徹底的に汚れを除去していきました。

精密根管治療の実施汚れを全て取りきったところです。本来なら削る必要がなく、削ってはいけない部分にまで汚れが入り込んでいました(黄色矢印)。まるで歯が裂けてしまったかのような姿です・・・。

これらの部分はおそらく歯に亀裂が入ってしまい、そこに細菌感染が起きて汚染されたためと考えられました。いずれにしても現在の医学では抜歯と診断されるのが通常であり、非常に厳しい状態でした。

精密根管治療の実施歯が裂けたかのような状態になっていた場所はMTAセメントにて充填しました。通常ではありえないような大量のMTAセメントを使用することになりました。(黄色矢印)

また、虫歯によって歯の一部に小さな穴が開いてしまった場所(青矢印)にもMTAセメントを充填しました。

残りの根管2か所(赤矢印)は歯根の長さが短いため、後日ファイバーポスト(土台の支柱)を立てる計画のためにいったん除去しやすい材料で充填しました。

精密根管治療の実施

根管充填後の写真です。歯が裂けたかのような形状の歯根部分にMTAセメントが緊密に充填されていることを確認しました。

精密根管治療の実施

MTAセメントが完全硬化した後日、ファイバーコアを作成していきました。

精密根管治療の実施

グラスファイバーの支柱を試適します。

精密根管治療の実施

続いて専用のファイバーコア用レジンで固めていきます。通常はこの後すぐに形を整えて歯型を取り、最終的なかぶせ物を作ります。しかしこの歯は非常に厳しいため、いったんこの段階で治療を止めました。

この後3ヵ月間はできる限りこの歯で食べ物を噛まないように注意していただいて歯を休ませることにより、回復を促しました。

精密根管治療の実施

ファイバーコアを装着してから4ヵ月後の状態です。

精密根管治療の実施

歯の形を整えて歯型を採る直前です。歯肉の腫れ、赤身も無く、良好な状態です。

オールセラミッククラウン(emax)のかぶせ物の製作

かぶせ物の製作

かぶせ物(オールセラミッククラウン(emax))を製作しました。製作は経験豊富なジルコニアセラミックス東京の齋藤氏に依頼しました。

オールセラミッククラウン(emax)のかぶせ物を装着/治療完了

かぶせ物の製作

セラミックの歯を装着したところです。歯の症状は完全になくなったそうです。

精密根管治療後のCT画像

精密根管治療後のCT画像

CT画像です。もともと亀裂が深く入っていた歯根周囲の顎の骨は一部回復しきれていないものの、ある程度の回復は出ていました。「数年持てばいい」という患者さんのご希望にできるだけ寄り添いながら、いつ何が起きてもおかしくない状態なのも間違いありません。これから注意深く経過を追っていきたいと思っております。

年齢/性別 40代女性
治療期間 8ヵ月
治療回数 5回
治療費 CT撮影 10,000円(税込11,000円)
マイクロスコープ根管治療(大臼歯) 110,000円(税込121,000円)
MTAセメント加算 22,000円(税込24,200円)
ファイバーコア 26,000円(税込28,600円)
emaxクラウン 115,000円(税込126,500円)
リスクなど ・精密根管治療をしても必ずしも違和感が消えるとは限らない
・精密根管治療に加えて歯根分割、外科手術など追加の処置が必要になる可能性もある。
・クラウンを入れた直後~1カ月ほどの間は歯に違和感を感じることがある。
・将来、歯根が折れてくる可能性がある。 など

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