マイクロスコープを用いた精密根管治療の症例③
マイクロスコープ精密根管治療で症状を改善した症例
こちらの患者さんは、右下の奥歯を他の歯科医院で2か月半治療していたが治らなかった、とのことで当院を受診されました。
当該歯は噛むと痛くてうずくとのことでした。レントゲンを撮影したところ、歯の中に白い筋が見えており、根管治療(歯根の消毒)がなされていることが分かります。
また、歯根の先に黒い影がはっきり写っており、炎症がかなり広がっていることも判明しました。
根管治療の実施
患者さんとご相談の結果、マイクロスコープによる精密根管治療をご希望されました。
紫色のラバーダム(ゴム製のシート)を治療する歯だけにかけて、 歯とのすき間を特殊な薬剤で封鎖します。
そして、全身の手術と同じようにヨードにて術野をできる限り滅菌します。※歯の一部やその周囲が茶色く見えているのは、その消毒薬の色です。
仮詰めはストッピングと呼ばれる材料が使用されていました。全国の歯医者さんでもよく使われているものではありますが、 封鎖性に乏しいのが欠点です。
このケースでもマイクロスコープで観察すると既に歯との間にすき間が生じていることが分かります。
虫歯を取りきったところです。健康な部分が露出して表面につやが出ました。ただ、歯と歯の間はだいぶ歯質がなくなってしまったため、歯の中に細菌を含む唾液が入らないよう、「隔壁」と呼ばれる壁を作らなければなりません。
根管内部の清掃が完了
根管の中を全て清掃したところです。最初の状態に比べると根管が適切な大きさに広がり、内容物も一切ない状態になっていることが分かります。
根管充填
根管治療から3年後のレントゲン画像
年齢/性別 | 20代 女性 |
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治療回数 | 3回 |
治療費 | マイクロスコープ根管治療 79,200円(税込) |
リスクなど | ・将来歯根が再び膿んでくる可能性がある。 ・ごく稀に、もともと歯根に亀裂が入っており、治療しても改善しない場合がある。 ・歯の神経が非常に細いケースでは、場合によって完全に根管が閉鎖して治療しきれないこともあり、その場合は治療の成功確率が下がるかもしれない。 【注意点】 根管治療だけでは治療は完結しません。通常はこの後、土台とかぶせ物が必要となります。費用もその分追加になります。 |