しみる奥歯を精密根管治療で改善した症例
しみる奥歯を精密根管治療で改善した症例
こちらの患者さまは「奥歯に穴が開いている、歯がすごくしみることから根管治療が必要だ」と前の歯医者さんで言われ、精密根管治療を受けたくて当院を受診されました。
精密根管治療の実施
CT精密検査の実施
ここでCT画像を確認です。赤丸部分が黒く抜けていますが、これは虫歯です。
一方、歯の中央部にも黒い部分がありますが、それは神経(青丸部分)です。
両者がほとんど接しているため、虫歯が歯の神経に到達していると考えられます。また、黄丸部分は歯の神経の保護材で、前の歯医者さんが歯の神経を保護して温存するために入れたものです。これも青丸部分とほとんど接しているため、過去に虫歯が相当深かったことを物語っています。
実際のマイクロスコープでの治療と照らし合わせると、ちょうど削っている虫歯の部分は歯の神経にまで到達していることから、もっと削らないと虫歯を取り残す可能性が高い、ということがこのことからもわかります。
引き続き精密根管治療を実施
ここで歯を水平的に輪切りにして観察したCT像をご覧ください。黄色矢印部分が通常よくある根管の位置です。赤色矢印部分は50%程度の確率で存在すると言われているMB2と呼ばれる根管があるのではないか?と疑われます。この情報は、CT撮影しないとわからない場合が案外多いので要注意です。
先ほどのCT画像でも疑っていた通り、通常1か所しかないとされるMB根(緑矢印)(3つの歯根のうちの1つ)において、もう1つ根管(赤矢印)(MB2)が見つかりました。
もともと極細な入口でしたので、これは肉眼ではまず見つけられませんし、治療もできない場所です。今回は事前にCT画像である程度予測はついていましたので比較的発見は容易でした。
それでもこの結果は、まさにマイクロスコープを使った精密根管治療ならではの技の成果です。肉眼でこの結果を出すことはまず不可能です。
年齢/性別 | 30代男性 |
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治療期間 | 1日 |
治療回数 | 1回 |
治療費 | マイクロスコープ根管治療(大臼歯) 110,000円(税込121,000円)(税込) |
リスクなど | ・5~10%の確率で将来歯根が膿んでくる可能性がある。 ・ごく稀に、もともと歯根に亀裂が入っており、治療しても改善しない場合がある。 ・歯の神経が非常に細いケースでは、場合によって完全に根管が閉鎖して治療しきれないこともあり、その場合は治療の成功確率が下がる可能性がある。 ・歯根が曲がっている場合、治療器具が途中で破折するリスクが高まる。 【注意点】根管治療だけでは治療は完結しません。通常はこの後、土台とかぶせ物が必要となります。費用もその分追加になります。 |