矯正治療症例 40代女性(反対咬合)
矯正治療で反対咬合(下顎前歯が前方に出ている)を改善した症例
▼矯正治療で反対咬合(下顎前歯が前方に出ている)を改善した症例をご紹介いたします。
初診時の口腔内
「前歯のかみ合わせがおかしいので治したい」との主訴で来院された40代女性患者さんです。
【写真:左】右真横から見た所です。犬歯の位置は前後的にはⅠ級と呼ばれる正常な位置にありました。奥歯は下の歯が少し前に出ている状態でした。
【写真:中】正面から見ると、上の前歯が下の前歯よりも内側に入っています。本来は上の前歯が下の前歯よりも外に出ていなければなりません。また、上の前歯の正中(真ん中)が下の前歯に比べて左に寄ってしまっています。
【写真:右】左真横から見た所です。下の犬歯から奥歯にかけて、全体的に上の歯よりも歯1本分、余計に前に出てしまっています。典型的な反対咬合と呼ばれるパターンです。
矯正治療の開始
上の歯だけに装置を装着します。まずは上の前歯が下の前歯をジャンプして飛び越えるのが目標です。
ただ、このパターンの患者さんは噛む力がとても強い場合が多いため、時間がかなりかかり得ること、ジャンプする過程で一時的に食事しづらくなることなどの問題があります。
それらの点も事前にご説明し、ご理解をいただきました。
矯正治療開始から3年弱後
矯正治療開始からちょうど3年弱。矯正装置を外したところです。
【写真:左】右真横からみたところです。犬歯、第1大臼歯の位置関係は完全に正常な場所(Ⅰ級)になっています。
【写真:中】上下の正中はどうしても合わなかったですが、治療に対する反応がなく限界であることが判明したため、噛み合わせ等にも異常がないことを確認して装置を外しました。
【写真:右】左真横からみたところです。治療開始前に比べると、相当上下の位置関係は正常に近づきましたが、100%完璧とはいきませんでした。やはり、歯のサイズが上下で異なることや、顎の骨の位置が上顎に比べて下顎が内側に入ってしまっていること、元々の歯の位置がそもそも奥歯1本分もずれてしまっていたことなどが大きかったと考えられます。
さすがに矯正治療で全てを改善することは不可能ですが、限界まで動かすことができたことと、機能的にも問題なく快適に噛めていることを確認できたため、患者さんも納得され、喜んでおられました。
歯の保定/定期観察
矯正装置が外れた後は、必ずリテーナーを使用していただきます。製作は矯正専門歯科技工会社ASOインターナショナルに依頼しました。
リテーナーを使用しないと歯が後戻りしてしまうので、あとは定期観察をしながらチェックしていきます。
年齢/性別 | 40代女性 |
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治療期間 | 3年 |
治療回数 | 37回 |
治療費 | 900,000円(税込990,000円) |
リスクなど | ・治療後の歯並びはある程度は予測がつきますが、完全に当てることは不可能です。 ・矯正治療後の歯並びの見え方は一律ではありません。これは、元々の歯の状態、歯並び、骨格など、人それぞれで状態が違うためです。つまり、顔がひとそれぞれ違うように、歯並びも個性を反映したものになります。 ・必ずしもご希望の歯並びになるとは限らないため、担当医とよく相談し、イメージをすり合わせておくことも大切です。 ・歯の移動に伴って一時的な痛みが出る場合があります。 ・歯がもともと骨に癒着していて動かない場合がまれにあります。 ・虫歯・歯周病の発生や歯根吸収のリスクがあります。 ・甘いものを食べたり飲んだりする習慣がある場合や、もともと歯ブラシ・デンタルフロスのやり方が良くない場合、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 ・治療後に歯肉が下がる場合があります。 ・治療後はリテーナーを使用しないと歯の後戻りの可能性が高いです。 |