最初にラバーダムをかけてヨードで消毒をします。ところどころ茶色く見えるのがヨードです。この消毒方法は全身の手術と同じ方法です。また、歯の周りにはラバーダムシートとのすき間を埋めて唾液が一切入らないようにする特殊なお薬を貼り付けています。

仮の蓋を外した直後です。根管内に黄色の物質が入っていました。これらは水酸化カルシウムという薬ですが、かなり汚染されてしまっていました。

虫歯が残っていないか？を確認後、今度は歯に亀裂が入っていないか？を染め出す液体（写真の青色の薬品）を使用しました。

歯に複数の亀裂が入っているのがはっきりしました。そのうちの1本は歯根の奥深くまで入っているようでした。

精密根管治療用の微細な器具を用いて歯の中を徹底的に清掃していきます。

ニッケルチタンファイルという特殊な超弾性の器具も併用し、歯の湾曲に沿ってクリーニングしていきます。

歯根の奥までクリーニングを進めていくと、CT上で確認していた破折器具（写真の赤矢印）が見えてきました。

極細の器具で破折器具を除去します。

長さ3ｍｍ程度の細い破折器具（写真の黄色矢印）を無事に撤去できました。撤去にかかった時間は約3分でした。

歯根の中を徹底的に清掃した後、MTAセメントで根管充填を行いました。歯根の一部に深い亀裂が入っており、しかも巨大な病変が歯根の周囲に広がっていたためです。

MTAセメントで根管充填を行った直後のレントゲン写真です。MTAセメントが歯根の尖端まで無事に充填されていることがわかります。

次にファイバーコアを装着したところです。治療前に歯肉にあった膿の出口はすっかり消えてきれいになっています。通常はこの後すぐにかぶせ物を入れるのですが、この歯は元々が抜歯寸前でした。また、この時点では歯がまだうずくときがある、とのことでした。そのため、最大限に治癒力を引き出すためにわざと噛めない状態かつ密閉した状態にしておいて、まずは半年間、経過を観ていきます。