欠けた奥歯に実施した根管治療の症例
欠けた奥歯に実施した根管治療の症例
こちらの患者さまは奥歯が欠けた、ということで来院されました。レントゲンを撮影すると、歯の内部まで黒く抜けており、内部で虫歯が進んだために歯が欠けたことが判明しました。
さらに、その虫歯が神経と重なって見えています。虫歯が進行して時間もかなり経過している上に、レントゲン的にも歯の神経がかなり細いことがわかります。
これらのことから、歯の神経を温存することはほぼ不可能だと予想しました。そのため「歯の神経を取ることになるであろうこと、もしかして歯の神経が健康であることが判明すれば歯の神経を温存するが、それはその場で判定することになる」と事前に説明し、ご本人の了承を得ました。
精密根管治療の実施
虫歯を取ると、自然に歯の神経まで到達してしまいました。健康な歯の神経組織であればピンク色をした弾力のあるものが塊として見えるのですが、写真の通り、この歯の神経からはまだらに出血があり、ピンク色の組織自体は全く見られませんでした。
つまり、歯の神経組織は炎症で崩壊しており、とても温存できるような状態にない、ということがこの時点で判明しました。そのため、歯の神経を取って根管治療をするほかありませんでした。
本来なら根管と呼ばれる部分から出血が見られたりしますが、この場合は歯の中央部分から出血がありました。もしかすると根管が通常と違う部分にも存在する可能性が出てきました。
根管形成、消毒が完了したところです。汚れも出血も全くない状態になりました。
MB2という根管は出現率が50%程度と言われています。今回の精密根管治療でも無事に発見し、クリーニングすることができました。
しかし、もし根管治療を肉眼で行っていたならば発見することができなかったか、発見できても十分にクリーニングできなかったと思われます。まさに精密根管治療ならではの成果と言えましょう。
年齢/性別 | 40代男性 |
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治療期間 | 1日 |
治療回数 | 1回 |
治療費 | マイクロスコープ根管治療95,700円(税込) |
リスクなど | ・5~10%の確率で将来歯根が膿んでくる可能性がある。 ・ごく稀に、もともと歯根に亀裂が入っており、治療しても改善しない場合がある。 ・歯の神経が非常に細いケースでは、場合によって完全に根管が閉鎖して治療しきれないこともあり、その場合は治療の成功確率が下がる可能性がある。 ・歯根が曲がっている場合、治療器具が途中で破折するリスクが高まる。 【注意点】根管治療だけでは治療は完結しません。通常はこの後、土台とかぶせ物が必要となります。費用もその分追加になります。 |