マイクロスコープを用いた精密根管治療の症例②
上顎洞炎を引き起こした歯のマイクロスコープ根管治療の症例
右上一番奥の歯がうずく、ということで急患として来院された50代の女性です。
レントゲンを撮影したところ、歯根の尖端あたりを中心に何となく黒くなっているように見えました。また、上顎洞が白く濁っているように見えました。
その日は、いったん炎症を抑えるために抗生剤と痛み止めを服用していただき、後日改めて治療することとしました。
虫歯の除去~隔壁の形成
仮詰めを外したところです。かなり歯がなくなってしまっていて、一部は歯肉の下まで歯がない状態でした。虫歯も全面的に広がっており、かなり汚染された状態のようです。歯がほとんどない上に一番奥の歯であるため、ラバーダムすらできない状況でした。
マイクロスコープを用いた精密根管治療の実施
日を改めて、マイクロスコープを用いた精密根管治療に入りました。
紫色のラバーダムを歯にかけて、歯とのすき間を特殊な薬剤で封鎖します。そして、全身の手術と同じようにヨードにて術野をできる限り滅菌します。
※歯の一部やその周囲が茶色く見えているのは、その消毒薬の色です。
【CT画像による分析】
こちらの患者さんは、ちょうど当院での治療の少し前に耳鼻咽喉科にてCT撮影をされたとのことでしたので、画像を頂きました。
右側上顎洞の半分近くまで白く濁った部分が確認できました。この画像からもいかに炎症が広がっているのかが分かりました。
従って、右上一番奥の歯が上顎洞炎の原因になっている可能性がとても高いことが予想されました。そして、根管治療中に出た大量の膿も、上顎洞にたまっていたものではないか?と考えられました。
根管充填をして根管治療完了
年齢/性別 | 50代 女性 |
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治療回数 | 4回 |
治療費 | マイクロスコープ根管治療(小臼歯) 90,000円(税込99,000円) |
リスクなど | ・5~10%の確率で将来歯根が膿んでくる可能性がある。 ・ごく稀に、もともと歯根に亀裂が入っており、治療しても改善しない場合がある。 ・歯の神経が非常に細いケースでは、場合によって完全に根管が閉鎖して治療しきれないこともあり、その場合は治療の成功確率が下がるかもしれない。 【注意点】 根管治療だけでは治療は完結しません。通常はこの後、土台とかぶせ物が必要となります。費用もその分追加になります。 |