穴が開いている歯に実施した精密根管治療の症例
穴が開いている歯に実施した精密根管治療の症例
こちらの患者さんは左下の奥歯の被せ物が取れたことを主訴に来院されました。
初診時のレントゲン写真
かぶせ物が不適であること(青矢印部)、近心根に根尖病巣があること(黄色○部)、根充剤がかなり太いため(赤矢印部)歯質が薄くなっていることなど問題点がいくつかありました。
しかし、他院で治療をしたばかりであり、また上記の条件から再治療には抜歯のリスクが非常に高いことなど、初診時は患者さんと相談し経過を観察することになりました。
一年半後(かぶせ物が脱離後)のレントゲン写真
症状などはなかったものの一年半前に撮ったレントゲン写真と見比べると根尖病巣が大きくなっています。
その大きさ、位置関係から下顎神経と近接している可能性が考えられます。今後も大きくなることが予想され、骨の吸収が増大するとインプラントなどの処置も難しくなることから、抜歯も視野に入れた積極的な治療を希望されました。
歯の状態として上述の通り悪条件がそろっているため、保存はかなり厳しい状態でしたが、患者さんの希望でマイクロスコープでの根管治療を行うこととなりました。
根管治療の実施
超音波チップやマイクロエキスカ等を使用し、機械的にガッタパーチャ(根管充填材)を除去して根管の中をきれいにしていきます。
根管内のガッタパーチャ(根管充填材)を全て取り除きました。
歯の一部に穴が空いているのを確認しました。拡大写真の黄色の○部分が穴です。
治療前後のレントゲン写真
年齢/性別 | 20代 女性 |
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治療期間 | 1ヵ月半 |
治療回数 | 3回 |
治療費 | マイクロスコープ歯内療法(大臼歯)90,200円(税込) MTAセメント加算 ¥23,100円(税込) |
リスクなど | ・5~10%の確率で将来歯根が膿んでくる可能性がある。 ・ごく稀に、もともと歯根に亀裂が入っており、治療しても改善しない場合がある。 ・歯の神経が非常に細いケースでは、場合によって完全に根管が閉鎖して治療しきれないこともあり、その場合は治療の成功確率が下がる可能性がある。 【注意点】根管治療だけでは治療は完結しません。通常はこの後、土台とかぶせ物が必要となります。費用もその分追加になります。 |